人間は、…といって差し支えがあれば、多くの人間は、あるいは私はか…
弱く狡い存在です。
道が二つに分かれていれば、楽な道を選ぼうとしますし、
そのためには、嘘をついたり、策を弄したりもします。

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それが人間、いや私です。

自分は弱くない、あるいは自分は狡いことはしないと
自信を持って言える人間を私はうらやましく思います。
と同時に信用もしないでしょう。
無邪気に自分を信じられる、その足りなさはおめでたいことですし、
そのおめでたさはうらやましいですが、
そうした人間はおそらく底が浅く、薄っぺらな存在でしょう。

また、自分の弱さ、狡さにうすうす気がついていても
認めない人間もいるでしょう。
そういう人間には砂上の楼閣のような危うさを感じずにはいられません。
わかっているのでしょう。認めてしまいなさいよって言いたくなります。



弱く狡いものです。

そういう自分を承知し、認めてこそ、その弱さ、狡さを乗り越え、
生きることができるのではないでしょうか。
また、自分の弱さ、狡さを認識しているが故に、
ほかの人間の弱さ、狡さを認め、許すこともできるように思います。

そういったことをとおして、人間は、または社会は、
成長していくのではないでしょうか。

弱さ、狡さを知らない人間はとかく独り善がりで、
威張り散らすことしかできません。
成長することのできない人間、高きに登ることのできない人間です。

弱さ、狡さを知ること、認めること、許すことにより、
高く広い人間へと成長していくことができるのでしょう。

自分の弱さ狡さを見つめることは、厳しく、辛いことです。

しかし、見つめ、観察し、認識し、受容するしか
乗り越える手段はないように思いますし、
より高く、より広くなることはできないのではないでしょうか。



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