シミって知っていますか？
スカートにつけてしまったお醤油のシミではありませんし、
お顔のシミでもありません。

節足動物門昆虫綱シミ目シミ科に属する昆虫で、
日本の在来種は、ヤマトシミ属のヤマトシミというのが
知られています。
漢字で書くと紙魚です。

さらに言うと、和書などに穴を穿って食害するのは
シミではなくシバンムシの仲間なのでそうです。

まぁでも、本につく虫のこと何となく紙魚と言っていますから、
ここでは紙魚でいいでしょう。
紙の魚って何となく不思議な感じで、
楽しい想像をふくらませることができますね。

あっ、いいえ、わたしの新しいお友だちではありません。

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実はわたしが紙魚なのです。
というか紙魚のようなものですね。

そう、本の虫、活字の虫なのです。
子どものころ、お小遣いが手に入れば本を買い、
小学校高学年のころには、
寝たふりをして布団の中にスタンドを持ち込み文庫本を読んでいました。

中学に入れば、本を読んでいて叱られることもなく、
読みまくっていましたし、

高校では家庭教師のアルバイトまでして、本を買っていました。
お小遣いが読書量に追いつかず、もちろん図書館も利用していましたが、
高校の図書館ではもの足りず、
また古本屋さんの怪しい雰囲気も大好きで、
学校帰りには古本屋巡りをするような紙魚でした。

大学のときが一番読んだかな。
仕送りなんて食べ物よりも本に使ってたくらいで、
本を食べればいいやって、そりゃぁ紙魚ですから。

目標は１日１冊読破でした。
さすがにそんなには読めなかったと記憶していますが、
卒業まで軽く１千冊の蔵書はあったでしょう。

よく、本を斜めに読むなんて言いますが、
わたしの場合、横に読んでいたと言っても過言ではありません。

それほど読む速度が速かったのです。

が、そのくらいだから、まぁ、ただ活字を追っているだけで、
記憶には残っていないものがほとんどでした。

読み終わった直後、

「いい本だったよ」と友に話し、
「どんな内容だった、あらすじは」と聞かれ、
「さぁ、どんなだったか…」という有様です。



読んでいたと言うより、
紙魚よろしく食べていたと言った方が当たっていますね。

学生時代の本は卒業と同時に実家の倉庫に押し込み、忘れ、
就職してからもさらに何千と言ってよいくらいの本を食べました。

一昨年、引っ越しをした際に何百冊って捨てたのですが、
まだまだたくさんあります、食べ散らかした本が。

買わないで借りてくればいいのですが、
なんかねぇ、自分のものにしないと安心して食べられませんよね。
お借りしたものを食べてしまっては申し訳ありませんし…。

もちろん食べることのできない電子図書なんてつまりません。
本の価値がないというものです。

それでも、最近は歳でしょうか…かなり食べる量が減っています。
美味しい本が少なくなっているような気もします。
たくさん売り出されるのですけどね。
食指を動かされないと言うか、よだれが出ないというか。
あまり軽すぎるとすぐに食べ終わってしまい、満たされませんから、
コストパフォーマンスが悪いですね。

だからといって、古本屋さんで底を探り、
もう何年も置きっぱなしになっているような本ですと、
重すぎて食べきれないことも多々あります。

ちょうどよい分量の美味しい本に出会いたいものですね。


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