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都心で開催されている印象派を中心とした美術展の会場。
予想どおりの混雑でとても落ち着いて鑑賞するような環境ではありません。
静かに絵画の鑑賞なんて常設展の展示会場くらい。

ありがちな同行者への知ったかぶりなミニレクチャー、
若い恋人同士のささやき、
人を押し分けて絵の前に進む人。
いつものことです。

そんな中、珍しく子どもの声がしました。
飽きたのでしょうね。
高い声が少し耳障りです。

若いお母さんが小さな女の子を抱いています。
どうしても観たかったのでしょうね。
そして、早くからお子さんにも見せたかったのかもしれません。

がまんしましょうか…などと思っていますと、
低く、鋭く、怒気を含んだ声が聞こえてきます。

「あなたが我慢すればいいんだから!
 あなたが我慢すればいいんだから!
 あなたが我慢すればいいんだから!」

としつこく繰り返します。
お母さんは本当に申し訳なさそうに、

「申し訳ありません。申し訳ありません。私がいけないのです」

と繰り返します。
お子さんは何が起きてるのかわからずポカンとしています。

確かにお子さんを黙らせることができず、
さらに言えば連れてくる場ではなかったとも言えますが、
そんなに強く、しつこくなじらなくてもいいのではないでしょうか。

その老人の声は確かに低く、小さいものでしたが、
怒気と鋭さのために、無邪気な子どもの声よりもその場にそぐわず、
とても不快なものでした。

その後、その親子はその場を離れ、
お子さんもだいたい静かにしていることができ、
お母さんは駆け足ながら一通り観ることができたようです。

不快な思いはあとまで続き、私がなじられたわけでもないのに、
なぜか悔しくて涙が出てきたりしました。

という具合に、はじめはこの出来事自体がすごく気になりましたが、
ふと、私も同様のことをしていないだろうかと気になり出しました。

そう、その場では子どもだけではなく、
大人同士もはじめに書いたように騒がしくありました。

それなのにその老人は立場の弱い親子を注意したのです。
言い方を変えれば、攻撃の対象にしたのです。
自分の怒りを明らかに立場が弱いであろう、
また反撃をしないであろう、
また加勢があるであろう親子に向けたとも言えないでしょうか。

様々な場で私は、私たちは同様のことをしていないでしょうか。
正義感面して、立場の弱いものに拳を振り上げていないでしょうか。

私はそんなことはしない、してこなかったとは言い切れません。

立場の弱い者に正義を振りかざすことによって、
強い者に暗にわかってもらおうとする狡猾を
残念ながら私は持っています。

正義を主張するのであれば、
または自分の立場や権利を主張するのであれば、
弱い者に向けるのではなく、明らかに強い者に向けるべきでしょう。
きちんと主張し、
わかってもらうように努めるべきではないでしょうか。

心に残る出来事でした。

   
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休みのたびに山歩きしています。深い森に住むニンフになれるかな。森から森へすべるように歩き回れるそんなニンフがいいな。黒紫が似合い、美しく、森へ入り込んだ人を惑わすようなそんなニンフになりたいって思います。


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